もうかなり前、遠い昔の話だ。
僕は大学の入学式に出席していた。
式が終わってクラスごとに教室に集まる。
あらかじめ座席は決められており、
出席番号順に座るわけだが、
僕の隣には少しヤンキーっぽい雰囲気の男子と
気が強そうな眼鏡の女子が座っていた。
僕は彼らに積極的に話しかけ、仲良くなろうと試みたが
反応は薄く、あまり僕と関わりたくないような
印象を受けた。
結果的に、ヤンキーっぽい男子は出席番号が近い
同じくヤンキーっぽい男子2人と仲良くなり、
眼鏡の女子はその隣の小柄な女子と仲良くなっていた。
つまり僕はぼっちになった。
僕は1人で講義を受け、
誰1人とも話さない日々を送った。
来る日も来る日も誰とも話さないため
僕の声帯は次第にその機能を失っていった。
家に帰ってたまに親と話す際にも
声がかすれておかしくなってしまう。
そんなある日、僕はバスに乗った。
2人掛けの座席の片側に僕と同年代ぐらいの
女子が座っており、僕は彼女の隣に座った。
すると見ず知らずの彼女は
僕の方を向いてこう言った。
「うわ、最悪・・・キモ・・・」
僕はどう反応していいのかわからず
ずっと黙って座っていた。
原因はわかっていた。
僕の容姿だ。
僕の顔は「普通の人」とは違っていた。
「普通の人」の場合、たとえブサイクであったとしても
人間っぽい顔をしている。
しかし、僕の場合は何となく違和感を感じる顔なのだ。
それに関してはもちろん自分でも自覚していた。
苦労の末、なんとか大学を卒業し就職するも
職場でも相変わらず悲惨な状況は続いた。
僕は努めて明るく振る舞っていたが
僕自身の人間性を他人に理解してもらえるまでに
かなりの時間がかかった。
長期間にわたって僕と接している人は
僕のことを理解してくれていて仲良くなれるのだが
特に初対面の人は僕に対して冷たかった。
飲み会で別の部署の知らない女の人が
僕の目の前の席にいた時、彼女は言った。
「気持ち悪いからこっち見ないで」
僕はショックだったが
場の空気を壊さないために笑って誤魔化していた。
悔しくて悔しくて涙を流したこともあった。
でも僕の心は折れなかった。
「この状況を何とかして変えなくてはいけない」
僕はそう思ってダイエットをし、体を鍛え始めた。
こうして生まれたのが
このブログで紹介している脱童貞マニュアルだ。
1年もの時間をかけて周到な準備を行い
ついにソープランドに突入した。
僕が初めてセックスした女の子は
とてもかわいくて、とても優しかった。
それから何度も何度もソープに足を運んだ。
ふとした時、僕は疑問に思った。
「もしも僕の容姿がもっとまともだったなら
女の子がしてくれるサービスはどんなふうに
変わるのだろう?」
僕のまわりの人は僕のことをこう言う。
「DJ GACKTONは優しすぎる」
(ちなみにソープ嬢にもよく言われる気がする)
そう、自分でもそう思う。
僕は優しい。
でも、実際はちょっと違う。
僕は普段は優しいが
時と場合によっては敢えて心を鬼にする。
目的を達成するためならば、いかなる手段も辞さない。
僕は誰にも相談せず、最終手段を実行に移した。
大がかりな整形手術を受けることにしたのである。